境界標は勝手に入れられない?

「なぜ隣接地と立会をしないと境界標を入れられないのでしょうか?測量図の通りに境界標を入れるだけならば立会をしなくても問題ないのではないでしょうか?」

確かに公的な測量図が残っていて、そのとおりに境界標を埋設すれば特に問題はなさそうに思えますが、

結論としては、やはり隣接地所有者の了承が得られない限り境界標を埋設することはできません。

理由としては大きく分けて2つあります。

目次

理由①:法律上、境界標はお互いの共有物ということになっているから

具体的な法律をあげていきましょう。

民法223条:土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。

民法229条:境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。

刑法262条の2:境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

つまり、

境界標はお互いの共有物なので、お互いに管理しましょう。また、勝手に境界標を移動したり、除去した場合は罰します。

ということになります。

そのため、いくら測量図どおりといっても、隣接者に断りもなく境界標を埋設した場合、最悪の場合は訴えられてしまう可能性があるということ。

それを避けるためにも、境界標を埋設する場合は必ず隣接地所有者の了承を得る必要があるということになります。

なお、民法223条には「共同の費用で、境界標を設けることができる」とありますが、実際は測量依頼者側のご負担で境界標を設置することが殆どです。

理由②:昔の測量図の精度が低いことが多いから

こちらの記事でも説明しましたが、一般的には昭和の中頃までに作成されていた測量図の精度は低いことが多く、

いくら測量図の通りに埋設したからといっても、そもそもの測量図が現況と一致していないことも珍しくありません。

現代の測量機器で改めて測量をして、測量図と現況との整合性を確認し、改めて境界線の確認を隣接地所有者と行う必要があります。

これを行わないと、やはり将来的に隣接地と境界トラブルに発展する可能性があるためです。

まとめ

以上、2点が境界標を勝手に入れられない大きな理由になります。

昨今では所有者不明土地や空き家問題などから、隣接地所有者とアポイントを取れない。

ということが全国的に問題になっています。

これらの問題が円滑な不動産取引の妨げとなってしまうため、近年では『不動産登記においては、正確な測量図が備わっている土地の場合、立会省略可能』などの通達が法務局から出されており、今後の法整備が期待されるところです。

不動産売買のために測量や境界標の埋設が必要だが、どのようにすればよいか分からない。

といった方は、ぜひお電話または相談フォームから一度ご連絡ください。

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